反復による影響力の向上
「反復」は、あなたからメッセージを聞き手の記憶に刻み込み、無意識に影響を与え、思い通りの方向へと動かす方法です。
過去ロンドン大学で、行われた「影響力」と「説得力」に関する約300件のレビューの中で、他人に影響を与えた要素をまとめました。
「反復」はそのうちでの1つで、議論の回数が多ければ、多いほど、賛成、反対の意思に関係なく、人はその意見に影響を受ける。
なぜ、メッセージを投げかける回数が多くなるほど、与える影響力は強くなるのでしょうか。その理由の1つは、「単純接触効果」です。
例えば、テレビで初めて出たタレントを見た際に、最初は「認知」のみしかありません。
しかし、何度も出演している間に、「反復」による単純接触効果で好印象の人をますます好きになっていくだけではなく、嫌いな人や抵抗感のある話題でも複数回触れるうちにだんだんといい印象に変わってしまう場合があります。
あなたが、誰かを説得し、影響を及ぼしたいと思うなら、一度、二度ではなく、3回、4回と繰り返し、伝えたいメッセージを「反復」するべきです。
繰り返すことだけでも一定の効果は得られますが、広告や宣伝を打つ場合、人が3回以上それに触れなければ購買活動にはつながらない。但し、5回以上同じ広告に触れてしまうと「しつこい」「見飽きた」とネガティブな印象を持たれてしまう場合があります。
その対処法としては、同じ広告宣伝、伝えたいメッセージを表現や形を変え、繰り返すことにより、ネガティブな印象を軽減することができます。
社会心理学者ウィルソンも3回話すると、説得力は46%増、10回繰り返すと86%増になります。
そして、反復することにより、社会ですら動かすこともできます。
ポイントは、飽きさせずに、相手に抵抗なく同じ情報を触れてもらうかです。
「反復」を支えるために必要なテクニックがあります。
多くの人が想像できるシンプルなものになぞらえて表現することで、聞き手は具体的な姿形、状況等を想像することができます。
具体的には、広さを表すときに、「東京ドーム」何個分という表現があります。
聞き手の良く知っている言葉を選んで、難しい話を置き換えていくことが重要です。
たとえ話を組み立てるときに、下記の3つを意識するといいと思います。
①自分が使うなら、どのように役立てるか?
②小学生に説明するなら、どんな伝え方をするか?
③相手をくすっとさせたいなら、どんな言い方をするか?
あなたがいいたとえ話がなかったら、上記の3つの表現を使うと伝わりやすいので、表現力(エピソード)を日ごろから蓄積しておくといいです。
また、人は、物語を理解して、記憶しやすい性質があります。単語だけでは伝わりません。
1つのストーリーになっていて記憶しやすい情報に価値を感じます。あなたも人に伝えるときは、その内容をストーリー仕立てにする演出を心がけ、その中に「反復」を仕込んでいくことが大切です。
話の中に、「上げて、落として、また上げる」という物語形式にすることが大切です。ドラマのように、恋が始まって、ときめいて、告白して、喧嘩して、別れて、その間にライバルがあらわれて妨害されるが、最後は結婚する等です。
あなたの話す内容、各メールや企画書、プレゼンなどに同じ構造を持ち込めば、一気にストーリーのある語り口が出来上がります。