ネガティブで注目を集める
アプローチにはもう一つあります。「アテンション・コントロール」です。話の組み立て、伝えるメッセージの順番を気をつけ、相手の注意を引き付けることができます。
ロンドン大学の文献では、「同じメッセージを伝えるときは、ネガティブな情報よりもポジティブな側面を強調したほうが人は納得しやすくなる」という事がわかっています。
しかし、感情の伝播は、ポジティブな感情よりも、ネガティブな感情のほうが、6~7倍の伝播力があることがわかっています。
人はポジティブとネガティブなら、ネガティブな情報に注目を向けやすいです。
ポイントは、納得しやすいのはポジティブな情報。注意を向けやすいのはネガティブな情報です。
この2つは、矛盾しているように見えますが、ネガティブは注意を集め、ポジティブで納得させることが大事です。
語り初めにネガティブ目線の表現を入れることで、聞き手の注意を引くことができます。
例えば、あなたの仕事の仕方は、時代遅れかもしれません。でも安心してください。流行がめぐるように、時代遅れの取り組みは、「古典」として再評価される時が必ず来るはずです。
一旦、「どうなるか?」を一旦落とし、「こんな風に思ったことはありませんか?」とネガティブな共感を集めます。すると、聞き手の心に「どうしよう?」という不安が顔に出ます。そこで、「でも安心してください」とポジティブな解決策を提示し、「気づいたあなたは大丈夫です」という流れに持っていきます。
身近なところでは、占い師も同じ話法もこの組み立てになっています。
「あなたはこのままでは、不幸になりますよ。」等、ネガティなつかみで相談者をドキッとさせた後で、「ここから運気が変わる」「こういった行動を心がければ出会いがある」といった転換点を用意し、ポジティブな展開に持っていきます。
大事なのは、ネガティブなまま話をしない事です。必ず、途中でポジティブに転じてください。そうすれば、同じ内容でも印象を変えることができ、記憶に残り、聞き手の無意識に働きかけることができます。